仕事

臨床検査の裏側〜輸血検査編〜

臨床検査技師として病院で仕事をしているパンダママが臨床検査の裏側をご紹介。

今回は「輸血検査編」です。

輸血検査とは

輸血検査室では主に輸血に関わる検査や血液製剤(ドナーの血液パック)の管理を行っています。

輸血に関わる検査は血液型の検査や不規則抗体検査(ABO以外で輸血に影響する抗体がないか)、クロスマッチと言って輸血予定の患者さんの血液と体内に入れる予定の血液製剤を体外で混合することで害がある反応が出ないかの検査などです。

血液製剤はこなの

あまり馴染みのない検査だと思いますが、輸血や血液型と言う言葉は日常で出ると思います。

パンダママは新卒で病院に就職してすぐ配属されたのがこの輸血検査室でした。

新人パンダママ

新人には荷が重すぎるよ〜…

病院で仕事をする以上、患者さんの命に関わる仕事をするのは承知でしたが、輸血検査は生死に直結するケースも多いので新人時代のパンダママは毎日ハラハラドキドキの勤務でした。

今回はパンダママの実際に働いてみて驚いた意外と知られていない血液型や輸血のお話を簡単にさせていただきます。

名札に書く血液型は意味がない

今戦時中の映画とかで怪我をした時にすぐ輸血できるように自分の血液型を書いた名札をつけているのを見たことがありませんか?

今でも子供の防災ずきんの記名欄や、緊急連絡先の欄などにも血液型を書く機会があります。

小学生の頃の名札にも血液型を書いた記憶があります(今はない?)

ママ友にもそこに記載するためにわざわざ病院に行って血液型の検査をしたと言っている友達もいました。

しかし今の輸血検査の実態で、輸血前に事前に血液型を検査せずに輸血を行うことは絶対にありません

たいていの病院では最低でも2回は採血をして、血液型に間違いがないかを慎重に検査しています。

その2回の採血も必ず違う人が採血する決まりになっています(ダブルチェックの意味で)

輸血検査の現場でも血液製剤や輸血に関する書類などは血液型ごとに色分けされ絶対に間違えがないよに様々な対策が取られています。

なぜなら当然、違う血液型を輸血してしまうと死亡する可能性があるからです。大きな医療事故になってしまいますね。

厳密に言うと、影響がない血液型もあります。


赤血球製剤の輸血の場合が、O型の血液ならどの血液型の人に輸血しても理論上は影響がないです。(超緊急の時はとりあえずO型の製剤を輸血することもある)

パンダママ

なんでかは難しい話になるので割愛しまーす

なので、今の医療では名札に書いてある血液型をみて輸血なんてことは絶対ありえません!

病院にストックしてある血液製剤は血液型によってかなり差がある

当然のことながら血液製剤は献血してくださったドナーの方の血液なので生物(ナマモノ)です。

よって保管温度も決められていますし、使用期限も厳密に決められています。

輸血を行う病院は必要な時にすぐに輸血ができるように血液製剤を血液センター(献血された血液を使用できる状態に検査、加工する血液の問屋的な施設)から買いストックしています。

使用せずに期限を迎えてしまったものは破棄するしかありません。

しかしこの血液製剤、結構なお値段のため、患者さんに使用せずに破棄すると病院の負担が大きくなります。

パンダママ

ピンとこないと思いますが400mlで1万とかします。
ものによっては10万前後!

なので、なるべく破棄が少なくなるように検査技師が考えて発注しています。

大きな心臓の手術の予定がある場合は事前にかなりの量の製剤を用意しますが、手術がうまくいけば全く使わないこともあり、余りが出てしまいます。

逆に突然、大量出血の患者さんが来た時にすぐ用意できる製剤がないと患者さんの命に関わってしまします。

このバランスを考えるのが難しかったな…

在庫を管理するにあたってかなり参考にするのが日本人の血液型の割合です。だいたい…

A型:O型:B型:AB型=4:3:2:1

の割合なので、病院内にある血液製剤の在庫の割合もこんな感じになっていることが多いです。

そう。AB型の在庫、かなり少ないです。

パンダママ

AB型の方ー!!急な大出血には要注意でーす!!!

Rh(-)なんてかなり稀なのでスットクしてあることはまずないです。

と、脅してしまいましたが、必要があれば血液の問屋、血液センターの車が救急車同様、サイレンを鳴らして超特急で届けてくれるのでご安心を。

意外と知られていない自己血の存在

皆さんは自己血の輸血って聞いたことがあるますか?

その名の通り、事前に貯めておいた自分の血液を輸血することです(貯血とも言われます)。

輸血が必要になる可能性がある手術や治療が控えている場合、一定の条件を満たせば事前に自分の血液を抜き、保管しておき、必要になった特に使用することができます。

もちろん、自分の血液なので、感染症や副作用の心配がないのがメリットです。

自己血の貯血を行う場合は献血同様、事前に何回か病院に通い、採血をする必要があります。

大量輸血トップ3

パンダママが数年、輸血検査室で輸血に関わる業務をしていて、一回の輸血量が多かった事例のトップ3をご紹介します。

外傷

大量出血でまず想像できるのは外傷なのではないでしょうか。

実際に救急に運ばれてくる外傷(大怪我)の患者さんでものすごい量の輸血を行うことは多いです。

よく見る赤血球製剤は大きいパックでも一本400mlなので、輸血量が多いと、準備するのも、準備できた製剤を現場に運ぶのも大忙しになります。

心臓外科の手術

手術では体にメスを入れるので、大きな手術になる程出血量が多くなり輸血が必要になる場合が多いです。

その中でも、輸血が必要になること、必要になった場合の輸血量が多くなるのが心臓の手術です。

心臓は全身に血液を巡らせるポンプですもんね。

それを切ったら、出血量が増えるのは当然です。

心臓外科の手術の場合は事前に2、3ℓ用意しておくことも多いです。

反面、輸血が必要になったら大惨事ですが、たくさん準備しておくけど使わないってことも多いです。

帝王切開の手術

心臓の手術以外に大量の出血が多い手術は帝王切開です。

前置胎盤など、様々なパターンがあると思いますが、胎盤には心臓同様大量の血液が循環していいるからですかね。

心臓外科は事前に大量の血液製剤を準備してあることが多いですが、産婦人科の手術はそのケースは少ないので、パンダママは急な大量の輸血オーダーにあくせくした記憶があります。

当然、出産中のママと赤ちゃんの命に関わるので輸血を準備する側も必死です。間違いがあってはいけないので超精神が擦り切れます。

そして準備できたら手術室へダッシュするため、体力も使います。

パンダママ

出産って本当に命がけなんだな〜

と、改めて感じる経験でした。

やりがいは人一倍、ぜひ献血を!

こんな感じに、患者さんの生死に直に関わる検査なので、責任が重い分、やりがいも多いです。

直接、輸血した患者さんに会うことはありませんが、事故で大量に輸血した患者さんの命が助かったことや、輸血によって貧血が改善したことはカルテを見ればわかるので、それを知るととても嬉しいです。

そして、献血の大切さを身にしみて感じることも多いです。

特に血小板輸血なんかは献血量も少ないので、必要で血液センターに発注するも、「在庫がありません」なんてこともしばしば。

今は子供も小さく、なかなか献血ルームに足を運ぶ時間がありませんが、時間ができたら献血したいなと思うこの頃です。

記事を読んでいただければ分かっていただけると思いますが、献血って手軽ですが、本当に直に人の命を助けます

月並みの言葉ですが生きるためにあなたの献血を必要としてる患者さんは多いです。

パンダママ

時間と体力に余裕があったらぜひ献血してみてください!